東電の偉いさん2人を呼びつけて、計画停電をめぐる配慮の足りなさに怒鳴り散らす
森田健作千葉県知事。
その計画停電が予定されていながらも、結局停電にならなかったと
不満を漏らす都民。
福島の原発事故に関する東電の記者会見にいらだちをぶつける
テレビ局の報道スタッフ。
特番でKY発言連発の自称知識人兼芸能人。
現地レポーターのふがいなさにイラつくフジテレビの安藤キャスター。
失策失策と政府の後手を批判する新聞記事。
みんな、間違いなくそれぞれの立場で、精一杯努力しているはず。
この、まさに未曾有の大惨事の、まさに現場のまっただ中に立った時、
自分だったら何が出来るというのか?
もし東電の幹部だったら、全く間違いのない計画停電を実行することが出来たのか?森田さん??
カメラが回っている前で、あんな方法で自身の存在をアピールするのはずるくないかい?
福島の第一原発で、考えられないような濃度の放射線に曝されながら
注水作業や消火作業を行っている現場の職員とその家族の想いを目の前にしながら
「しっかりしてよ東電さん!」なんて言える人間はよっぽどの不感症か
どうしようもないアホのどっちかだ。
「原発のあり方を考えないといけないでしょうね」「インフラを考え直すいい時期」
なんて「いかにも論」は要らない。
自分も被災者なのにゴミ袋をエプロンにして、
炊き出しやおにぎりをつくるおばちゃんたち。
遺体がここにあることを示すおびただしい数の赤い旗の連なり様。
泥にまみれた車のそのボンネットに書きなぐられた「気合」という文字。
おくさんの名前を書いたプレートをぶら下げて、
めちゃくちゃになってしまった街の中を泣きながら自転車をこぐおじちゃん。
「日本人ってすげぇんだってとこ、世界中に見せつけてやるよ!」と頑張っていたおじいちゃん。
逃げる時に手をつないでいたはずの奥さんと子供が津波にさらわれてしまったというご主人。
行方不明になったお母さんを探してさまよう女の子。
あまりの惨状に言葉を失う海外からの救助隊の表情。
そんな映像を目の前に、被災者の感情にどれだけ近づきたくても近づくことが出来ない。
頑張れって言葉さえも陳腐で失礼に思えてくる。
阪神大震災の時もそう。
うちの親父はその仕事柄、
翌日の朝のうちに人命救助のために(確か)板宿に派遣されました。
管轄本部の指示で親父をはじめとする救援隊は複数の班に分けられ、
救助のために割り当てられた地域に走って向かうことになったんだけど、
その走っている合間の担当地域外のがれきの下、そこかしこから助けを求める声を聞くにつけ、
涙が流れてどうしようもなかったと。
そんな親父の気持ち、被災者の本当の気持ちに触れることが出来るのは
その瞬間、その場にいる人だけ。
言葉だけではその人の気持ちに近づくことは出来ないように思います。
だから今、うちの中でテレビを見ることの出来る私たちに出来ることは
黙って行動すること。
義援金がその最たるもの。
今日は神戸でも雪が降っています。