近そうで遠い日本のワイン・・・
はい、山梨の蔵元に行ってきました。
一泊二日で4つ。奥野田葡萄酒醸造、ルミエール、四恩醸造、勝沼醸造。
いや、仕事ですよ、一応。
早速、まずは奥野田から。平成元年に独立された蔵元です。
当主の中村さんはフィリップ・パカレ並みの理論でもって
ブドウ栽培・醸造に取り組んでいらっしゃいます。
それもそのはず、ご自身、大学では細菌学を修められたそうで・・・
酵母や生菌についての専門学的な言語はなかなかに難解でしたが、
ブドウ栽培に関して
極めてロジカルな、そして体系的なご説明により
「旨いワインはまず健全なブドウから造られるもの」という一般的な常識を
深いところで理解することが出来ました。
中でもものすごく深くしみ込んだ言葉は
「何故日本でワインを造るのか?
本当にワインを造りたいならフランスに行けばいいじゃないか、
という質問をプロの方からよく頂くんです。
フランスのワイン生産地の畑は概して日当たりが強い。
日当たりが強いとブドウの果実は乾燥による自己防衛の為、
果皮表面にワックス(油分)を生成します。
そんなブドウを使って醸造するワインは決まってぺトロールの成分が強くなり過ぎるんです。
このようなワインが日本の繊細な食材に合うと思いますか?」
中村さんはブドウのことを「彼ら」と表現します。
「彼らが今、望んでいる事」に対応しているだけ、という中村さん。
すごく温厚でやわらく、会長である(!)奥方との会話の際の優しい笑顔に隠された
深い深い信念を感じました。
話に引きずり込まれるように、1時間半の見学予定も結局2時間が経って・・・(続く)