ワインとムジカとハリネズミ

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ボサノヴァ的


2年前の1月ぐらいのことだったか、
オフィス・サンビーニャさんに、ある企画を提案させていただいたことがありました。

数週間後、「アンタの企画、CDにしますYO!」なんてお返事を頂き、
そして圧倒的な仕事力で完成していただいたものが、その年の3月に
「ジョアン・ジルベルトが愛したサンバ」(ライス:BSR-3010)
という名前でリリースされる運びになったのです。
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ボサノヴァのオリジネイターのひとり、ジョアン・ジルベルトのレパートリーの大部分は
実は40年代の大昔のサンバだって話、ブラジル音楽好きなら大方ご存知かと思いますが、
じゃあ、昔のサンバを好んで歌っているにもかかわらず、なぜジョアン=ボサノヴァと言われているのか。
ジョアンの何が、どうボサノヴァなのか。(bossa=才能・傾向、nova=新しい)
それら原曲との比較こそが、ジョアンのボサノヴァを浮き彫りにするのではと思い、
「ジョアンがレパートリーにしている古典サンバの原曲をコンパイルしていただきたい」と
提案させていただいた、そんな流れだった訳です。



それまでにも、どのようにしてボサノヴァが生まれたのかを探るべく、
プレ・ボサ期の録音に焦点を当てた企画ものは確かにありました。
そしてイヤというほど耳にするのが、ローリンド・アルメイダやルイス・ボンファ、ガロートやジョニー・アルフは
「chega de saudade」以前からボサノヴァだったなんてウンチク。
彼らの録音を聴いて、いったいどれだけ多くの人がジョアンに結びつけることが出来るでしょうか?
確かに(曲によって)ガロートのギターの演り方は
ジョアンの演り方に大きく影響を与えていることは分かります。
でも、元をたどれば〇〇のルーツはここにあったなんて話、ごまんとあるじゃないですか。
ひょっとしたら、「オレなんてカート・コバーンより20年も昔からグランジだったもんねぇ~」なんて、
どこそこ公園のザ・ブルーシーツが自慢しているかも知れない。
そう、「オレの方が早かったもんねぇ~」は、言ったモン勝ちの世界。

もっとダイレクトにボサノヴァのルーツを知りたい!
そうなれば、ジョアンとその原曲との聴き比べでしかないと、そう思った訳なのです。
(字数こそ多くなりましたが、何かを議論する際の広義、狭義の違いです。単純な話)



そして、このCDはジョアンのボサがノーヴァであることを見事に証明してくれるものでした。
「マダムとの喧嘩は誰のため?」はまさかまさかのジャネー・ヂ・アルメイダのオリジナル(45年録音)。
その他にもジェラルド・ペレイラやアロルド・バルボーザのオリジナルに最も近い時代の
オス・ナモラードスとかアンジョス・ド・インフェルノのそれは貴重な録音が収録された
歴史的価値の高い素晴らしいCDになっています。e0165180_13252329.jpg
この「ジョアンが愛したサンバ」を聴いたあとで、
ジョアンの「LIVE AT THE 19th MONTREUX JAZZ FESTIVAL」(86年発表:BOM3402~3)を体験すると、古典サンバがジョアンの
ボサを基にしてノーヴァなものに仕上がるまでの調理法が分かる仕組み。
買わんとアカンでしょ?






で、そこに加えてボサノヴァのルーツを広義に捉えるとしたら
村上とうようさんの「ボサ・ノーヴァ物語・源流篇」とか、

e0165180_1327965.jpgフランスのFERMEAUX&ASSOCIE社からリリースされた
「ROOTS OF BOSSA NOVA 1948-1957」(左)、



e0165180_13273564.jpgREVIVENDO社の
「Antonio Carlos Jobim Meus Primeiros Passos E Compassos」
(アントニオ・カルロス・ジョビンの軌跡)(右)



が参考音源としてベスト。
特にREVIVENDO社のはジョビン作曲の歌が録音の年代順に収録されてることもあって、分かりやすい。
後半になればなるほど、演奏もアレンジも聴きなれたモダンなものになって行きます。
でも逆に、ジョビンの作品とは言っても歌い手やアレンジ、演奏によっては
古臭いサンバ・カンソンのままだってことも、これを聴くと良く分かる。
つまり、ボサノヴァはジョビンだけではありえなかったんですね。
だからこそ、ジョアン=ボサノヴァだって定義は少しも乱暴だとは思いません、私。


そう言えば、来年早々にジョアンの1stアルバムがイギリスのレーベルからCD化されるようです。
ライセンスの契約はどうなっているのか全然知らないけど、オデオン/EMIと全然違うルートからの
再発だからこその企画なんでしょうね。
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ジョアンとオデオン/EMIとの確執は言わずもがな周知の事実ですが、
それにしてもこの再発を予定しているelもEMIと全く同じことをしようとしているんじゃないの?
オリジナルを忠実にモノラルミックスのまま出せばいいところを
黒いオルフェのSPを抱き合わせたり、その1stに収録された曲を違う歌手が歌ったバージョンを
抱き合わせたり・・・
まぁそれはそれで貴重な資料となりそうですけどね!


ジョアンのsamba da minha terra。ドリヴァル・カイミ作で1940年にヒットした古い古いサンバです

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by necotee-ra | 2009-12-28 14:26 | ムジカ

またもやボサノヴァ


なんだか最近(というかここ数年の間)
ボサノヴァが好きだと公言するのが少し恥ずかしいような、
そんな雰囲気が漂っているように思います。

15年ほど前は街中のどこのカフェでもブラジル一色だったように覚えてるんですがね~。
それがいつからかブラジル音楽の中でもクラブっぽい、分かりやすい音楽に取って代わってきて、
次に流行ったのがブラジルのバトゥカーダを下敷きにしたハウスミュージック。
ジャイルズ・ピーターソン周辺とか、あとは船場にある某レコード屋さん周辺から聴こえてくるような、アレ。
そう言えば10年ほど前、店長おすすめの音楽ってことで
hanakoに取り上げてもらったのはアイアートのトンボが入ってたやつやったなぁ。
今は阪神タイガースの応援曲になってたりして・・・

最近はカフェらしいカフェに行ってないもんで、
どんな音楽が流れているのか全然分からないけどどうなんでしょう?
今さら「いやぁ~、ワタクシ、ボサノヴァが好きでね~」なんて言おうものなら
「バタくさ~」ってなるんやろか??


こんな話をするのも、ここのところ、改めてボサノヴァにはまり込んでるからなのですが、
今になってやっとジョビンのアレンジのすごさに気付いたり、
ボサノヴァの軽妙な雰囲気が、今までとは違った風に聴こえてきたりして面白い。
特に58年頃から65年までの録音に最良のものが多いように思います。
(逆に65年以降はいわゆるボサノヴァらしいアレンジとか歌い方が聴こえてこなかったりするしね)



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Sylvia Telles 「CARICIA」(57年)
以前、「シルヴィア」を一聴して「暗っ!」なんて思ってしまったもんだから、
あえて避けていたシルヴィア・テリス。ショーロを通じてガロートを知った今、
収録の「DUAS CONTAS」の彼女の歌唱力とこの録音が放つ独特の空気感にバッキバキにやられます。




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Sylvia Telles 「AMOR DE GENTE MOCA」(59年)
同じ人の59年作。
ジョアンの「chega de ~」が爆発的にフィーバーした(らしい)
翌年とは思えないほどの重厚感。アストラッド・ジルベルトとかの、
軽ワザ系女子が歌う「DINDI」しか聴いてなかった私、コレ聴いて反省しまくりです。
その他、ヴィニシウスとトッキーニョのがベストテイクだと思い込んでいた「FELICIDADE」、
ジョアンのでしかあまり聴かない「SO EM TEUS BRACOS」が素晴らしい。




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Carlos Lyra 「BOSSA NOVA」(60年)
「レコードの質感っていいよね~」的なややこジジイは嫌いだ!なんて思ってたけど、これも反省しまくり。
今年になって、やっとオリジナルのアナログで購入。
擬似ステレオでミキシングされて再発されたこのタイトルのCDと比べたら、
オリジナルのモノラルの良さって、誰が聴いても分かる!
このアルバムがもつ優しくて軽妙で、ジェントルな佇まいが、
それまでのブラジル音楽との違いを見せ付けるような。
ジョアンの1stにも負けないぐらいの素晴らしい作品。




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Walter Santos 「AZUL CONTENTE」(63年)
ワルターと言えばワンダレイしか知らなかったずっと以前、
初めてこのCDを手にした時はジャケットの顔の胡散臭さから購入しなかったことも
これまた今さらながらに猛反省。(でもアレンジと鍵盤はワンダレイ・・・)
あまりボサノヴァらしくない少し古い歌い方と、ワンダレイのボサノヴァ的なアレンジのバランス。
カルロス・リラ曲をそのオリジナルと、
そして、ルイス・アントニオの「BARRACAO」をカエターノ劇場のエリゼッチ・カルドーゾと比較した時に、
「ボサノヴァ的」の意味が少し見えてくる。




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Sergio Augusto 「BARQUINHO DIFERENTE」(65年)
CD化された02年には自分自身ブラジル音楽から遠ざかっていたこともあって
買い損ねていたのモノ。マルコス・ヴァーリの「SONHO DE MARIA」を聴いて
エリス・レジーナ、タンバ・トリオのやり方との違いが面白く、
またリラの「MAS TAMBEM QUEM MANDOU」を聴いて、歌い方だけじゃなくて
このアルバム全体がリラの1stとか2ndっぽい雰囲気を持っていることに気が付く。



「おいしい水」とか「イパネマの娘」みたいな超有名曲を聴くだけでは見えてこない
ボサノヴァの面白さがあって、最近この5つを良く聴いてますが
じゃあ肝心のボサノヴァってなんなん???はまた今度。
「ジョアン・ジルベルトが愛したサンバ」(オフィス・サンビーニャ)で一目(一聴)瞭然。
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by necotee-ra | 2009-12-21 02:12 | ムジカ

とうとうコハリも


訳あって、前の職場を上がる前日の、
ちょうどまさに日が変るか変わらないかっていう夜遅くに
飼ってたコハリが死にました。
なんか見守ってくれてたんかねってタイミングです。

つい10分ほど前、クスリをあげるために手のひらに乗せたばっかりで、
まだ身体が温かいままです。

一番最初に飼ってたハリコが病気で死んで、その直後から様子がおかしくなってました。
ゴハンは食べないわ、ようやく食べた思ったらすぐもどすわ、金切り声でのたうち回るわで、
6月に診てもらった病院では「ガンです。せいぜいもっても今月まででしょう」なんて言われちゃいながら、
しっかり11月29日の深夜まで生きながらえたもんね~。

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最期の一ヶ月なんて、膿のせいでつぶれちゃった片目に加えて、
もうまっすぐ歩けなくなって。ふらふらで。
あっちこっちに頭ゴツンゴツンぶつけてたりして、あれはひどかった。
体重も一番調子のいい時と比べて1/3ぐらいまで減ってたし。

だから、もうある程度覚悟出来てたし、前のハリコん時と違って、
留守中にさびしく死んでいったのとは違うから
逆に良く頑張ったなぁ、といったところです。

でも、やっぱり飼ってたペットが死ぬというのはどうあっても悲しいもの。
犬猫と違って身体もちっちゃいし、全然なつかないわで、
ハリネズミは面倒くさい動物ですが、死んだ時の寂しさは犬猫と全く同じ。
彼らを通じて感じた、家族と一緒に過ごした季節とか思い出を
全部持ってかれてしまうような感じがするからでしょうかね~。


そうして、ウチのハリネズミはチビスケだけになってしまいました。


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(トイレットペーパーの芯に顔を突っ込んでご機嫌のチビくん。アホです)
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by necotee-ra | 2009-12-19 15:57 | ハリネズミ

誰がインで誰がアウト?


この2週間、訳あって殆ど何もしてない。
ブログぐらい更新すればいいんだけど、
時間があるからって書けるもんでもないってことが良く分かりました。
テンション上がってる時こそ、人は色々動くモンなんですね~。

あったかい日も雨の日も、今日みたいな寒い日も
大きな窓を前にして部屋の中でパソコンいじったり、音楽聴いたりとか。
つまり、もう「イン」な訳ですよ。とことん(笑)
ゲンズブールも聞いていましたよね?
「qui est in?(誰が「イン」だって?)」
いや、私の場合は「アウト」か・・・


久々に今日は少し身体を動かしてみようと年賀状の準備をしました。
プリンターを収納から取り出して、紙をセットする。
心やさしい妻が見つけてきた、トラの絵をプリンターを使って印刷する訳ですが
これがなかなか。
年賀状の表裏と印刷の方向が覚えていたのと違ってて、
プリンターからベロッと吐き出される、
印刷途中のトラの頭を確認してはひとり「ウギャ」とか言いながら
何度も修正する訳なのです。はぁ・・・


少しためらいながら抜栓したアイリー・ヴィンヤーズの「ピノ・ムニエ05」。
e0165180_12321523.jpg柔らかくて優しく、角の溶けた渋味とほんのりな甘み。
少し早いかなと思ったけど、ちょうど今頃がいいんですね、ピノ・ムニエって。
プレヴォーやフランソワーズ・ベデルのあの味スジの源を確実に感じさせる、
「あぁ、だからプレヴォーはあんな味になるんやわ」を体感。
完璧で申し分のないワイン。

そして、これまた非のうちどころのない中島ノブユキさんの「パッサカイユ」を聴きながら、
今まで1年分のデトックス。

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「waltz of autumn」(vo.はUAのバックもやってる太田さんですね)

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by necotee-ra | 2009-12-16 12:34 | ムジカ