最後は勝沼醸造。
こちらもルミエールほどじゃないけど、昭和12年創業の老舗ワイナリー。
2004年にリリースした「アルガ・ブランカ・イセハラ」で、一気に名を馳せた名門です。
ちなみにメルシャン勝沼ワイナリーの「甲州きいろ香」は
そのイセハラに追従せんとメルシャンがボルドー大学の協力のもと
総力を挙げてテクニカル的に生み出されたものだそうで・・・
ここでは製造ご担当の平山さんにお話をお聞きすることが出来ました。
ワインの文化・醸造の変遷から、今勝沼醸造が目指しているワインのあり方まで幅広く。
勝沼醸造では画一的なワインのあり方から脱し、
それぞれのブドウ畑のテロワールをワインとして表現したいとされています。
その一環として、醸造~瓶詰に使用するSO2の添加量を
40ppm~上限を80ppmと定めているとのこと。
またエントロピーを2年前から全廃されたとか。
(エントロピー=果汁を濃縮するための悪名高きあれですな)
(↑ 揚水。地下のミネラル分を含んだ水が剪定された枝の口から出てきます。
ほんのり甘みも)
でも、本当のテロワールワインの実現には
その発酵に自然酵母が必須であり、またその為には当然無農薬栽培でないといけない。
契約農家を多く持つこの蔵にとって、この問題はかなり難しいものでしょう。
しかし、これが完成した時には!!
実際、平山さんは「これからはもっと土と向かい合って行きたい」と仰っています。
すでに業界で一定の地位を築きながらもそこに安住せず、
新たな方向性を打ち立ててチャレンジするその姿勢。
勉強になりました。
と、一泊二日、4つの蔵元を見学して思ったのですが、
みんな、それぞれアプローチの仕方の違いはあれ、
今よりももっと前へ上へと自らを高めるために努力されています。
地元のワインの地位の向上を目指して、
また、日常にもっともっとワインが浸透していくことを願いながら。
のほほ~んとした人柄に感じられたルミエールの小山田さんだってそうです。
大げさかも知れないけど、どの人からもワイン造りに対しての強い「使命感」を感じました。
そして、そんな使命感を持っている人が造るワインは美味しい!
今回の蔵元訪問で再確認出来たこと、それは「ワインは人」なんだということ。
そして、そういったことを感じたり、理解するというのは、
雑誌で読んだり、頭で考えたりするのとはまた違うんだということ。
電気を走らせたように肌で感じ、
ビッシビシに身体に叩き込んで、
心にジュワ~としみ込ませていくもんなんですね