アルゼンチンの軍事政府により暗殺されたとされる不運のピアニスト、
テノーリオ・ジュニオール。
64年の唯一のソロ作とされているのがこの作品です。
ドラムにホナウド・メスキータやミルトン・バナナ、
ヴィオラォンにネコ、トロンボーンにエヂ・マシエル、
パーカッションにフーベンス・バッシーニ、
サックスにメイレリスやパウロ・モウラ等、
それはもうとにかく豪華なメンバーが脇を固めています。
聴き所はもちろん(よく言われている通り)M-3とM-6ですが、
全体的に緩急のついたアレンジと各プレイヤーの超絶テクニックの
緊張感みなぎる絡み合いで、初めから終わりまで聴き手を全く飽きさせることがありません。
いわゆる「ジャズボッサ」や「サンバジャズ」なのでしょうが
テノーリオ・ジュニオールについてはなにも枕詞を付けずとも
シンプルに「ジャズ」のコーナーにおいてあっても
充分にデューク・ピアソンやホレス・シルバーと対マン張れるほどに素晴らしい演奏を聴かせてくれます。
ジスモンチやドナートと並ぶブラジルの至宝で(実際73年にはジスモンチの作品で共演済!)
ブラジル音楽好きを自称する方には避けて通れない作品であることは間違いありません。
っと、以前に投稿済のアマゾンレヴューからでした。
最近LPで再発されましたが、
ややこもった感じの音質になっているCDより、雰囲気も含めてそっちの方が良いかも。