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ワインとムジカとハリネズミ

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山本のおっちゃん



鳥取に岩美というところがあって、
ここは兵庫県の湯村温泉を9号線で北上していけば
県境を越えた辺りに位置しています。

もうだいぶ寂れてしまったけど、温泉地として昔は有名だったところですが
それよりも漁港町としての方がよく知られてるかも。
一方を国立公園でもある青い浦富海岸に面し、
そして東と南は山に囲まれた古い小さな田舎町です。


その町の山の裾野に岩井窯はあります。
通称「山本のおっちゃんとこ」。


山本のおっちゃんはオヤジの幼馴染だ。
そして、バーナード・リーチ氏に学び、柳宗理からの絶大な賞賛をも受ける陶芸家でもあります。
本当の名前は山本教行さん。
岩井窯はそのおっちゃんの窯元の名前なのです。(http://www.iwaigama.com/index.html
(まさか自他共に認める堅物のオヤジの友達にあんな芸術肌の方がいらっしゃるとはねぇ)





そういうご縁で、私が本当にまだちっちゃい時から
両親の帰省の度に幾度となく立ち寄ったものですが、
先日、久しぶりに遊びに行ってきました。


おっちゃんの作風は、私、こういったものを勉強した事がないので
ちゃんとした言葉で表現することが出来ませんが、用の美っていうんでしょうか。

「日常生活の中であたりまえすぎて気にならないのに、それでいて常に大切に思えるものがある。
そういうものが焼けないかと思う。私が作ったというより生まれてきたと思えるものが焼けないかと
念じてやまない」ってHPに書かれていますが、まさにそんな感じ。
一生かけて使って行きたいと思えるような力強くも素朴な湯のみや器たち。
そしてそんな器にお菓子や魚を盛ると、なんとも絵になって美味そうに見えたりするのです。


久しぶりに行って気づいたのですが、
その作風が昔と違い少しずつ変わってきたように思います。
それが、2年ほど前に新しくチャレンジし始めたという塩釉の作品。

窯焚きの途中で塩を投入し、塩化カルシウムとかのミネラル分を気化させて
その成分を器の表面に焼き付ける技法らしいです。

今までのどことなく武骨な作品も良かったけど、この塩釉もいい感じ。
ずっと見てて見飽きしないような表面の仕上がり。

これまでの作風のままでも十分なほどのおっちゃんなのに
60歳を前にして、さらに新たな作品にチャレンジするという、その気概!
純粋にかっこいいなぁなんて思いました。

ワインの生産者もそうですが、
本当に良いものを造る人の考え方はよく似ています。
ひとところに安住しないチャレンジ精神。
その意思の強さ。



そして、そういった人との会話に参加し、学びを得ることが出来る幸せ。


山本のおっちゃん_e0165180_15553094.jpg
                   塩釉の湯のみ
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                    これもおっちゃんの
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                   来月ウチにやってくるJr. 当然名前はまだない
by necotee-ra | 2009-08-23 16:03 | ひとりごと